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攻めの経営!? 2019年度(平成31年度)レイソル 個別経営情報開示

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毎年夏に公開されるJリーグ個別経営情報。レイソルは3月決算のため7月発表クラブとなっています。

・19年度(平成31年度)Jクラブ経営情報開示(公式

という訳で例年のように見ていきましょう。
※良い子の前提:レイソルさんは2019年度J2リーグ所属でございます。

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営業収入

・総収入

まずは、グラフをご覧ください。

※16年度以降物販収入が費目上独立しているが、それまでの比較のためにその他収入と合算して算出

2019年度の営業収入は、31.40億円と18年度の41.50億円から10億の減収となりました。2018年度でクラブ史上初めて40億円を突破した翌年には10億円の減です。ジェットコースターっぷりがすごい。なぜ10億減ったのかを深堀する前に、どのくらいの位置づけなのかをおさらいしておきましょう。

営業収入を上から順に並べてみると、神戸(114.40億円)、浦和(82.18億円)、川崎(69.69億円)、名古屋(69.12億円)、鹿島(67.68億円)、マリノス(58.84億円)、FC東京(56.35億円)、G大阪(55.13億円)とここまで8クラブが50億超え。40億円台は清水(42.91億円)だけで、30億円台に磐田(38.13億円)、C大阪(37.86億円)、広島(37.37億円)、札幌(35.99億円)、大宮(34.54億円)となりようやく柏(31.40億円)となります。柏までの15クラブは営業収入が30億を超えとります。

売り上げ規模的にはザ・中位クラブですね。売り上げが多い順だと、柏は19年度15位、18年度は10番目。17年度は13番目、16年度は15番目です。50億超えのガンバまでがビッグクラブと呼べるのかな。
ちなみに、20億台のクラブは千葉(28.38)、仙台(27.11)、松本(27.11)、湘南(27.01)、長崎(25.64)、鳥栖(25.61)、新潟(22.47)京都(20.90)の8クラブです。

・スポンサー収入

以前の意見交換会のコメントを引用します。

30億ちょっとの売上のうち、スポンサー料が大半を占めています。30億のうち13億は日立からいただいているスポンサー料です。その他6億は日立グループが主な相手先となるスポンサーで、当然その他にも地域の中小企業さんからご支援をいただいております。

2010年度から2011年度を除き、ものの見事に19億円前後が続いていましたが、10年ぶりに数字が動きました。スポンサー収入は22.06億円と2.4億の増収です。スポンサー周りでの変化と言えば、三協フロンテア様とのネーミングライツが浮かびますが、この契約は2018年1月24日。契約期間は2018年2月1日からですので、数字は18年度から計上されているはずです。もう1つあるのは、19年4月26日に日立ビルシステムさんがユニフォームスポンサーになっている件。こちらの数字が増収の一因とみるのが正しそうです。

・入場料収入

入場料収入ですが、これは19年度=J2で戦ったシーズンの時の入場料収入が中心になります。レイソルは3月決算ですので、2020年シーズンの年チケ収入(1月から3月までに売れた分)も対象になっていると思われます。
入場料収入は減収です。3千万円ほど減っています。

ですが、過去にJ2に降格した前年、J2在籍年と比較してみると、
2005年度→2006年度 5.29億円→2.84億円
2009年度→2010年度 4.74億円→2.91億円
2018年度→2019年度 4.49億円→4.14億円
減少幅が小さいことがわかります。

19年度のホーム平均入場者数は9,471人。18年度ホーム平均入場者は11,402人でしたので2,000人ほど減ってしまってますが収入としては微減に留まっています。
チケット代は、2020シーズンから増額なので(消費税増税で100円値上げ)影響はないとすると、考えられるのは
・18年度と比べ19年度招待客を減らしたこと
・20年度のシーチケ売れ行きが良かったこと(3月決算のため早期販売分は計上されるはず)
あたりでしょうか。下げ幅が小さくて済んだ理由は正直よく分かりません。
仮に20シーズンのシーチケが好調だったという理由だとすると、コロナ禍で返金になりますんで来年度は悲惨なことになりそうです。

・Jリーグ配分金

Jリーグ本体様からの配分金です。こちらも過去のゲキサカ記事の引用から始めます。

降格1シーズン目のみ前年度配分金の80%が保障される。J1からJ2に降格した場合、J1の配分金3.5億円程度の80%、2.8億円の配分金がもらえる。J2の配分金は1.5億円。
J1上位クラブが受けることになる「理念強化配分金」は最長3年間の傾斜配分が決定。同年度の審査(※)を通過する必要があることから、支払い開始は翌年になるが、今季の1位チームには18年に10億円、19年に4億円、20年に1.5億円が渡ることになる。
また「理念強化配分金」は年間4位のチームにまで支払われ、今季の2位チームは18年に4億円、19年に2億円、20年に1億円。同3位チームには18年に2億円、19年に1.5億円で20年の配分金はない。同4位のチームは18年の1.8億円のみとなる。この比率は3年間適用される。

Jリーグ配分金は、18年度7.08億円から19年度2.08億円とちょうど5億円の減です。
19シーズンはJ2でしたが、降格1年目でしたので、J1配分金の80%が支給されるはずでしたが、額面通りの80%にはなっていないようです。19シーズンでのJ1下位クラブの配分金がおおむね3.8億円前後ですので、その60%程度になっています。それでもJ2クラブの配分金は、降格してきた長崎さんをのぞくと1.5億程度ですので5千万円くらいは上乗せされています。

18年度はなぜ7億超ももらえたかというと2017年にJ1で4位だったからですね。「理念強化配分金」が加算されていたはずです。(ただ4位だと2億弱なはずなので差額は何?というのはよく分かりません)
また、気になるのこととして、同じ降格組の長崎さんは2.77億円の配分金を得ていることが挙げられます。柏とは7千万近く差があります。クラブ経由のDAZN加入者とか視聴者数で配分金の増減があるとの記事を読んだ記憶があるので、柏はもしかしたら少なくって減額されたのかもしれません。。。

・その他収入

柏の収益を左右する最大の要因が「その他収入」です。「その他収入」とは1言で言うと、賞金+移籍金+物販売上になります。賞金と移籍金などで2.38億円、物販が0.52億円ということになります。

その他収入は18年度の10億円から2.90億円と7億円の減収になっています。
賞金ですが、J2の優勝賞金は2千万円です。ルヴァン杯は予選敗退、天皇杯も3回戦敗退なので賞金はありません。(手当は含まれていると思われます)
移籍金ですが、柏の2019年経営年度は19年4月から20年3月までですので、この間に出ていった=移籍金を落とした選手の金額が計上されます。19-20の移籍でいくと、ほぼレンタル移籍でしたので大きな収入はなさそうです。伊東君は20年6月までレンタルでしたからここには入らないはずです。
キムボギョン、増島、中川創、中川寛斗あたりが完全移籍ですが、移籍金を取れてるとしたらボギョンと中川創くんかなあ。
物販ですが、柏の数字は微々たるものです。なお、この金額ですが

グッズについては、企画、仕入、販売の一連を加茂商事さんへ委託しております。開示されている金額が全ての売上高という訳ではございませんので、他クラブと比較して突出して少ないという訳ではありません。商品化事業をアウトソーシングをすることで、在庫高や販売にかかる諸経費を大きく削減しております。

と過去の意見交換会で話がありました。また、Jリーグ公式サイトにも、「物販収入」および「物販関連費」は、代理店に委託販売しているケース等もあることから、取扱い高総額でのクラブ間比較はできない。
と記載があります。数字だけ見てほかのクラブと比較する人が多いので追記しておきます。

・経年変化

年度 収入 広告 入場 配分 その他 アカデミー 物販 備考
19年度 31.40 22.06 4.14 2.08 2.90 0.22 0.52 ※J2在籍
18年度 41.50 19.68 4.49 7.08 10.00 0.25 0.67
17年度 34.54 19.54 5.54 4.66 4.54 0.26 0.77
16年度 28.74 19.29 4.35 1.85 2.95 0.30 0.61
15年度 30.19 19.28 5.18 1.86 3.53 0.34
14年度 31.65 19.43 4.66 2.01 4.89 0.66
13年度 34.12 19.47 6.46 2.04 5.44 0.71
12年度 35.51 19.89 5.76 2.34 6.78 0.74 ※スタジアム改修
11年度 35.43 18.78 4.96 2.30 8.65 0.74
10年度 27.43 19.98 2.91 1.17 3.37 ※J2在籍
09年度 28.59 17.63 4.74 2.09 4.13
08年度 29.97 18.74 4.60 2.36 4.27
07年度 31.43 19.30 4.11 2.58 5.44
06年度 32.44 25.02 2.84 1.39 3.19 ※J2在籍
05年度 38.74 17.82 5.29 2.50 13.13
単位は億円 ※16年度以降物販収入が費目上独立しているが、それまでの比較のためにその他収入と足して算出している

営業費用

・総費用

こちらもグラフをご覧ください。

※営業費用は年度によって費目の変動が大きいので総費用とチーム人件費のみを抜粋。


総額は18年度とほぼ同じの42.06億。1年でJ1に戻るためになりふり構わずお金を使ったことがわかります。総費用42億というのは、全クラブで10番目。よく使いました。
では内訳をみていきます。

・チーム人件費

柏の営業費用で大きな割合を占めるのがチーム人件費です。

19年度29.40億円(69.9%)
18年度28.06億円(68.0%)
17年度23.08億円(67.1%)
16年度17.53億円(61.9%)

と過去最高だった18年度から1億円以上多い29.40億を記録しています。1試合で8人もアカデミー卒を先発で使っていた16年度下平期と比べると12億円ほど増えています

レイソルは3月決算ですので、29.40億円は、19年シーズン、20シーズンの選手・スタッフの給料(基本給+勝利給など)+19年4月から20年3月までに加入した選手の移籍金(一部)が加わっています。期間中にあった主な動きとしては、昨夏のジュニオール・サントスの獲得、レンタルでサヴィオの獲得、19-20オフでは、キムスンギュ、三原、北爪、三丸、呉屋、仲間、神谷、川口、戸嶋、高橋、大南の獲得とサヴィオが完全移籍に切り替わっています。契約切れでフリー移籍だった選手もいるとは思いますが、これだけ獲得しているので移籍金がかかっている選手もいるでしょう。

サヴィオの完全移籍での獲得には460万ブラジルレアル(約1億2000万円)かかったという報道もありました。なお、移籍金がかかっていた場合は、全額計上するわけでなく減価償却的に配分していくのが一般的だそうです。
営業費用におけるチーム人件費の割合は、69.90%と70%にリーチというラインまで来ました。支出をできるだけ人件費に割くというのがレイソルの戦略なのだそうですが、どこまでのラインを許容範囲として設定しているのかは気になりますね。さすがに80%も90%も人件費に割けるとは思っていないのでこの辺りが限界なところだと思います。
ちなみに、チーム人件費は上から順に、神戸69.23億円、名古屋39.73億円、浦和32.28億円、川崎29.58億円、柏29.40億円、鹿島29.36億円、FC東京27.36億円、マリノス26.84億円、鳥栖25.28億円、G大阪24.34億円、C大阪24.06億円となっており、柏は上から5番目。19年J1優勝したマリノスよりも多い金額を投じています。

・その他の支出項目

その他の支出項目は、チーム運営費を除き、前年を下回る支出になっています。アカデミーとか3千万しか計上していないとかもう少し増やしてあげたいなと思ったりするレベルです。
支出の内訳については、浦和さんの情報からかなり細かいレベルまで読み解けます。興味がある方は見てみてください。3枚目の画像が費目レベルのものです

・経年変化

年度 営業費用 試合経費 T運営費 A運営費 T人件費 販管費
19年度 42.06 1.26 3.26 0.31 29.40 7.83
18年度 41.28 1.35 3.14 0.37 28.06 8.36
17年度 34.40 1.58 1.83 0.33 23.08 7.58
16年度 28.30 1.32 1.80 0.39 17.53 7.26
15年度 30.83 1.67 2.32 0.40 18.88 7.56
14年度 31.95 1.38 2.09 0.39 20.59 7.50
13年度 33.80 1.98 2.66 0.40 21.18 7.58
12年度 35.27 1.74 2.25 0.38 20.47 10.43
11年度 33.91 1.53 2.68 0.36 19.19 10.15
10年度 26.98 7.24 14.85 4.89
09年度 29.30 8.32 15.80 5.18
08年度 30.48 8.43 16.94 5.11
07年度 31.05 9.48 16.93 4.64
06年度 34.62 8.60 21.88 4.14
05年度 38.58 4.60
単位は億円
※11年度以前は試合経費、チーム運営費経費、アカデミー運営費の内訳が発表されていません。
※販管費は17年に費目が分かれたので、販売費および一般管理費と物販関連費の合計値です。

どこで売り上げをつくるのか

昨年、自分はこんな風に書きました。

今年はさらに勝負に出ました。お金がかかるネルシーニョを再招聘したわけです。なりふり構ってはいられなかった半面、ある程度移籍金の目安もついていたんじゃないかと思います。
ただ、支出のグラフを見てもらえれば分かりますが、第1期ネルシーニョ監督期は毎年毎年チーム人件費が増えていく傾向にありました。結果も出なくなった。ちょっとお金を使う体制から変更しようということで吉田達磨さんにバトンタッチするも1年で頓挫。メンデスを挟んで下平さんにお金を掛けないやり方に移行するミッションを託し、16年度には17億台まで削減に成功しましたが、そこからの迷走で爆発的に支出が増えてしまっています。
今年復帰できなかった時は結構本気で怖いことが起こりそうです。

レイソルの経営層は1年で昇格という博打に勝ち昇格を決めました。
2年前にはこうも書きました。

DAZNマネーもあること。ACLもあることで、17シーズンから18シーズンにかけてレイソルはかなり勝負をしたのではないかと推測します。それくらい一気に人件費が増えています。惜しむらくはその結果が今のところほぼ出ていないことでしょうか。計画通りの絵に描いた結果が出ていればDAZNマネーも獲得でき、ほっと一息つけたのではないかと。そんな風に推測しました。

で、再びスタートラインに立ったわけです。どこで回収できるモデルなのか正直分かりませんが(日立様が助けてくれるのかもしれませんし、DAZNマネーや移籍金収入を充てにしているのかもしれません)、またJ1で勝負ができるところまで戻ってきたわけです。
で、今年です。
コロナ禍です。
さて、どうなるか。
攻めたあかつきにはリターンがあるはずなのですが、そのリターンはどこで得れるのだろうか。どう回収しようとしているのだろうか。
今年J1で優勝して、もう一度アジアに出たら、日立様やヨネックス様、三協フロンテア様がお小遣いくれる話にでもなっていると良いのだけどなあ。

コメント

  1. 今川 より:

    気づいたら予算も15位か
    中位どころか下位に
    今はいいけど数年後どうなってるのか
    かなり心配

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