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Jリーグで2点差をつけられたら、どれくらいの確率で逆転できるのか?

レイソル データ集

「2-0は危険なスコア」という言葉があります。2点リードしていれば、あと1点取れば3-0。ところがサッカーでは、なぜか2点差から試合がひっくり返ることがあります。

かつてネルシーニョは、2点リードしている状況で選手たちにこんな言葉をかけたそうです。「なぜ2点もリードしているチームが相手を恐れる必要があるんだ?何も恐れずにそのまま戦えばいい。勝っているのは我々なのだから」

言われてみればその通りなんだけど、0-2から1点返した際のカタルシスこそサッカーを見る興奮の1つかもしれません。実際2点差はどのくらい「危険」なのか。京都戦では、レイソルが前半を0-2で終えながら、後半に3得点して逆転勝ち。2025年8月のホーム浦和戦でも、0-2から4点を奪って逆転しました。リカルド体制になって逆転勝ちができるようになっている印象があります。事実逆転勝ちは増えています。

ただ、劇的な試合は記憶に残ります。

 

レイソルは、2点差からの逆転が多いのか?そもそもJリーグ全体では、2点ビハインドになったチームが、その試合をひっくり返せる確率はどのくらいなのか。ということで、いつもみたく調べてみました。

ちなみに、この話題は定期的に記事になります。

サッカーキングでは2018年にプレミアリーグの過去データをもとに「2-0は本当に危険なスコアなのか?」という検証が行われていました。また、Football LABでもJリーグのデータを使った分析が掲載されています。最近アップデートされた記事は見かけなかったので新たに集計してみました。

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●今回の集計条件

この手の集計を自分でやろうとすると、素人にはなかなか大変です。ということでいつものようにSoccer D.B.さんのデータを使わせてもらいました(ありがとうございます。CSVで落とせるので大変助かってます)。対象としたのは、2003年以降のJ1リーグです。かつてJリーグではVゴール方式の時代がありました。Vゴール時代は延長戦が最大30分あり、試合形式そのものが現在とは大きく異なります。今回は条件を揃えるため、Vゴールが廃止された2003年以降に絞りました。

また、今回調べたのは「2-0から逆転された試合」ではありません。試合中に2点のビハインドを負ったチームが、その後どうなったのかの集計です。

例えば、

  • 0-2
  • 1-3
  • 2-4

といった状況になった試合が対象です。そこから最終的に、

①逆転勝ち
②引き分け
③敗戦

のどれになったのかを調べています。Soccer D.B.さんも、試合中に一時的に追いついたかどうかではなく、最終的な試合結果を基準にしています。なので、「2-0は危険なスコアなのか?」というより、少し幅広目に「Jリーグで2点差をつけられたら、その後どこまで巻き返せるのか?」という結果になっていると思います。

●Jリーグで2点ビハインドになったらどうなる?

結論を先に言うと逆転勝ちは相当レアケースでした。

2003年から2026-27シーズン第7節1日目までのJ1リーグで、試合中に2点ビハインドになったケースは3,169件ありました。そのうち、最終的に逆転勝ちまで持っていったのは78試合。

逆転勝率は2.46%。だいたい40回に1回です。

「2-0は危険なスコア」と言われることがありますが、数字だけを見ると、2点差をつけられた側が逆転するのはやはりかなりのレアケースです。一方で、逆転まではできなくても引き分けに持ち込んだ試合は154試合。逆転勝ちと合わせて「負けなかった」ケースは232試合ありました。

負けなかったケースでも7.32%、およそ15回に1回です。つまり、2点差をつけられた試合の9割以上は、そのまま敗戦に終わっています。やはり2点差は、かなり大きな差です。

では、この2.46%という数字は高いのでしょうか、低いのでしょうか。2018年にサッカーキングが紹介したプレミアリーグの過去データでは、2点リードから逆転負けを喫したケースは2.6%。Football LABがJリーグのデータを使って行った分析(2015年~2019年9月)では2.9%でした。

1992年のリーグ創設時から2016ー17シーズンまで。この間、ゲーム途中に2点差がついたのは、計2766試合あったという。そして、最終結果は以下のようになったとされる。

■2点リードを奪ったチームの最終結果 (サンプル数:2766試合)
・勝利:2481試合(89.7パーセント)
・引き分け:212試合(7.7パーセント)
・敗戦:73試合(2.6パーセント)

引用元:サッカーキング(2018.07.05 2-0は本当に危険なスコアなの? プレミアの過去データをもとに検証)

今回の集計は対象期間や集計方法が異なるため単純比較はできませんが、少なくとも今回確認した3つのデータでは、「2点差からの逆転は3%前後」という近い数字になっています。

J1リーグ(2003年以降)の2点ビハインド状況の一覧

まず結果をどんと。

チーム試合数2点ビハインド
試合数
2点ビハインド
発生率
2点ビハインド
逆転勝試合数
2点ビハインド
逆転率
2点ビハインド
引分け試合数
2点ビハインド
負けない率
2点ビハインド
負け試合数
合計/平均値3,16922.04%782.46%1547.32%2,937
鹿島アントラーズ79312415.64%108.06%612.90%108
川崎フロンターレ73211615.85%97.76%915.52%98
FC東京75815119.92%74.64%89.93%136
ガンバ大阪75713918.36%64.32%1011.51%123
ジェフユナイテッド千葉2365623.73%23.57%410.71%50
清水エスパルス68617725.80%63.39%77.34%164
セレッソ大阪62212520.10%43.20%78.80%114
柏レイソル69115923.01%42.52%55.66%150
京都サンガF.C.3178125.55%22.47%13.70%78
名古屋グランパス75816321.50%42.45%66.13%153
ヴァンフォーレ甲府2728330.51%22.41%36.02%78
横浜F・マリノス79213216.67%32.27%56.06%124
アルビレックス新潟58213923.88%32.16%55.76%131
サガン鳥栖4509721.56%22.06%46.19%91
RB大宮アルディージャ40811127.21%21.80%56.31%104
湘南ベルマーレ42011828.10%21.69%34.24%113
浦和レッズ79214017.68%21.43%1612.86%122
ジュビロ磐田57414725.61%21.36%108.16%135
ヴィッセル神戸72516622.90%21.20%117.83%153
大分トリニータ3709325.14%11.08%34.30%89
ベガルタ仙台44110022.68%11.00%45.00%95
北海道コンサドーレ札幌34810530.17%10.95%55.71%99
サンフレッチェ広島72811716.07%10.85%33.42%113
FC町田ゼルビア821214.63%00.00%18.33%11
V・ファーレン長崎401230.00%00.00%00.00%12
アビスパ福岡2908428.97%00.00%67.14%78
ファジアーノ岡山44613.64%00.00%00.00%6
モンテディオ山形1364432.35%00.00%12.27%43
横浜FC1786737.64%00.00%00.00%67
松本山雅FC681826.47%00.00%00.00%18
水戸ホーリーホック6116.67%00.00%00.00%1
東京ヴェルディ2105727.14%00.00%610.53%51
徳島ヴォルティス722940.28%00.00%00.00%29

こうして見ると、クラブによってかなり数字が違います。もちろん、在籍したカテゴリーやシーズン数、クラブの強さなどが違うので、単純に数字だけを比べればいいわけではありません。

●クラブ別に見る2点ビハインド

そこで、ここからはクラブごとに、

  • そもそも2点ビハインドになることが多いのか
  • 2点差から逆転できているのか
  • 逆転まではいかなくても、負けずに終えることができているのか

の3つに分けて見ていきます。「強い、弱い」だけでない、ちょっと面白い傾向が見えてきます。

発生率

そもそも「2点ビハインドになることがどのくらいあるのか」を見てみます。クラブによって、この数字にはかなり差がありました。

最も少なかったのは町田の14.63%。ただし町田は今回の集計期間におけるJ1での試合数がまだ少ないため、ここは参考値として見ておいたほうがよさそうです。町田を除くと、鹿島が15.64%、川崎が15.85%、広島が16.07%、横浜FMが16.67%と続きます。J1全体の平均は22.04%でした。鹿島、川崎、広島、横浜FMあたりは、そもそも2点差をつけられることが少ないクラブと言えそうです。

逆に2点ビハインド発生率が高かったのは徳島40.28%、横浜FC37.64%、山形32.35%、甲府30.51%、札幌30.17%など。ただし、こちらもJ1での対象試合数が少ないクラブが含まれるため、単純に上位・下位を比較するのは少し注意が必要です。

ある程度、J1で戦った試合数があるクラブに絞って見ると、甲府、札幌、湘南、福岡あたりは2点ビハインドの発生率が高くなっています。甲府30.51%、札幌30.17%、湘南28.10%、福岡28.97%です。鹿島15.64%、川崎15.85%と比べると、2点差をつけられる状況になる頻度がほぼ倍です。

もちろん、これはクラブの強さだけで決まる数字ではありません。J1に在籍していた期間や対戦相手、シーズンごとのチーム力など、さまざまな要素が影響しそうです。では、2点差をつけられることが少ないクラブは、そこからの逆転も多いのでしょうか。

次は「逆転率」を見てみます。

逆転率

次は、2点ビハインドになったところから、最終的に試合をひっくり返した割合です。ここはかなり面白い数字になりました。

J1全体の逆転率は2.46%。ところがクラブ別に見ると、これを大きく上回るクラブがあります。鹿島の8.06%、川崎の7.76%です。どちらもJ1平均の約3倍。鹿島は2点ビハインドになった124試合のうち10試合、川崎は116試合のうち9試合で逆転勝ちまで持っていっています。

3番目はFC東京の4.64%と平均よりは2%ポイント高いのですが、それでも鹿島、川崎とはかなり差がありますね。ちなみに、発生率では16.07%とかなり低かった広島ですが、逆転率は0.85%。117回の2点ビハインドに対して、逆転勝ちはわずか1回でした。鹿島・川崎と広島を比べると、この違いはかなり極端です。

2点ビハインドの発生率が高かったクラブでは、逆転率も低くなる傾向があります。ただし、ここは「2点差をつけられることが多いから弱い」と単純に結論づけることはできません。柏に象徴されるように、そのシーズンシーズンでチームの強さだけでなくさまざまな条件が絡むと思います。

横浜FC、山形、福岡、東京Vなどは、集計期間では逆転勝ちが一度もありませんでした。とはいえ、ここはN数に注意が必要です。例えば横浜FCは2点ビハインドが67回ありますが、東京Vは57回、山形は44回、福岡は84回。鹿島や川崎と比べると、そもそもの試合数や発生数が大きく違います。

それでも、鹿島の10回、川崎の9回という数字は目立ちます。2点差から逆転すること自体が「40回に1回」のレアケースなのに、その中でも鹿島と川崎はかなり高い確率で逆転している。

なかなか興味深いし、そうだろうなという結果になっていると思います。自力って言葉で説明されるやつですかね。最後に「逆転できたかどうか」だけではなく、逆転まではできなくても、そこから負けずに終わるクラブ=「負けなかった率」を見てみます。

負けなかった率

最後に、2点ビハインドから最終的に負けずに終えた割合=負けなかった率を見てみます。逆転勝ちだけでなく、引き分けも含んだデータです。J1全体では、2点ビハインドになった3,169試合のうち、逆転勝ち78試合、引き分け154試合の合わせて232試合、7.32%が「負けなかった」試合でした。

逆転勝ちだけを見ると鹿島と川崎が突出していましたが、ここでは少し違った顔ぶれが出てきます。トップは川崎の15.52%、続いて鹿島の12.90%。そして3位に入ってくるのが、浦和の12.86%です。

浦和の数字はかなり面白く、2点ビハインドの発生回数は140回で発生率は17.68%。そもそも2点差をつけられることはJ1平均より少ないクラブです。時代によりますが堅守のイメージがありますね。ところが、2点ビハインドからの逆転勝ちはわずか2回。逆転率は1.43%しかありません。

一方で、引き分けは16回を記録します。つまり浦和は、2点差をつけられたら「そこから逆転する」というより、「そこから何とか負けずに終える」ことが多い。引き分け16試合は、今回の集計では全クラブ最多です。

これは鹿島・川崎とはまた違っています。鹿島や川崎が「2点差から逆転してしまうクラブ」だとすれば、浦和は「2点差をつけられても、試合を壊さず、なんとか耐えることができるクラブ」と見ることができます。(もしくは、あとちょっとだったのに…というクラブ)

逆に、負けなかった率が低かったクラブを見ると、横浜FCは0%、山形は2.27%、広島は3.42%、京都は3.70%、湘南は4.24%、大分は4.30%となっています。特に広島は、2点ビハインドの発生率が16.07%と非常に低かった一方で、そこから負けなかった割合は3.42%。「そもそも2点差をつけられないけれど、つけられたときにはなかなか巻き返せない」という、鹿島や川崎とはかなり違った数字になっています。

では、我がレイソルはここまで見てきた数字の中で、どのあたりに位置するのでしょうか。

●柏レイソルの場合

最後に、我らがレイソルを見てみましょう。レイソルは、2003年以降のJ1で2点ビハインドが発生したのが159回。この期間のJ1での試合数は691試合なので、発生率は23.01%です。J1全体の平均は22.04%ですから、数字的に見ればレイソルはほぼ平均的です。おおむね4~5試合に1回は、試合中に2点ビハインドを経験している計算になります(それはそれで多くないか??)

ただ、2003年以降には3度のJ2降格があり、一方で2011年のJ1優勝をはじめ上位を争ったシーズンもありました。そう考えると、発生率がJ1平均あたりに収まっているのは、長い期間で見れば「行って来い」ということなのかもしれません。

では、そこから逆転できているのでしょうか。

逆転勝ちは4回。

2011年の川崎戦、2012年の清水戦、2025年の浦和戦、そして2026年の京都戦です。逆転率は2.52%でJ1全体の2.46%とほぼ同じです。つまり、レイソルは2点差をつけられてからの逆転が、特別多いクラブでも少ないクラブでもありませんでした。

……とはいえ、最近のリカルドレイソルを見ていると先制されてもそこから追いついたり、逆転したりする試合は増えています。今回調べた2点ビハインドからの逆転も、2025年の浦和戦、2026年の京都戦と、リカルド監督の就任後に2年続けて起きています。

・2025年8月の浦和戦では0-2から4点を奪って逆転。
・2026-27シーズンの京都戦でも、前半0-2から後半に3得点して逆転しました。

なので、柏についてはもう少し広く、歴代監督ごとに「相手に先制された試合から、どのくらい逆転勝ちしていたか」も調べてみました。

主な監督・時期 相手先制試合 逆転勝ち 逆転勝率
リカルド・ロドリゲス 22 6 27.27%
ネルシーニョ第1期(2009~2014) 80 16 20.00%
ネルシーニョ第2期(2020~2023.5) 70 6 8.57%
下平隆宏(2016.3~2018.5) 33 4 12.12%
井原正巳(2023.5~2024) 35 2 5.71%

※ネルシーニョ期は、J2だった2010年、2019年を除外しています。

こうして見ると、リカルド・ロドリゲス監督の数字がかなり目立ちます。リカルド就任以降、相手に先制された22試合のうち6試合で逆転勝ち。逆転勝率は27.27%です。およそ4試合に1試合、逆転勝ちをしています。これは凄い数字です。

ネルシーニョ第1期もかなり高い数字ですが、それと比べてもリカルド時代は明らかに高い。一方で、ネルシーニョ第2期は8.57%、下平さんは12.12%、井原さんは5.71%でした。しばらく逆転もできなかったので、余計「リカルドになってから、逆転する試合が増えた気がする」という印象を強くしているのでしょう(実際もそうでしたが)

次はそもそも先制点を減らそうぜ。にメスを入れたいところではありますが。

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