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Inspire the Next 2022年度(令和4年)柏レイソル個別経営情報開示

2023reysol

毎年7月後半に公開されるJリーグ個別経営情報開示資料。柏レイソルは3月決算のため発表時期が先行版でなく7月の完全版のタイミングです。

・2022年度(令和4年度)Jクラブ経営情報開示(公式
・2022年度クラブ経営情報開示資料(本発表)(公式

という訳で例年のようにP/L中心に見ていきます。

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前提

・2023年7月に発表された個別経営情報は令和4年度=2022年度分です。
・繰り返しますがレイソルは3月決算ですので、2022年4月から2023年3月までの出来事が決算の対象です。
・柏レイソルの2022年ですが、前半戦勝点30の4位と好成績で折り返したもののその後まったく勝てなくなり7位でシーズンを終えました。
・2022シーズン中の出来事としては、7月キムスンギュ選手がサウジのアル・シャバブへ完全移籍。守田さんが鳥栖から期限付き移籍で加入。エメルソン・サントスがアトレチコ・ゴイアニエンセへ期限付き移籍。8月に鵜木くんが水戸へ期限付き移籍。
・2022年シーズンオフには、仙頭さん、ジエゴさん、片山さん、立田さん、山田さん、守田さんが移籍加入し、タニさん、染谷さんが引退。北爪さん、大南さん、上島さん、滝本くん、ドッジさん、ペドロ・ハウルが完全移籍と出入りの多いシーズンオフでした。

また、今回の経営情報から費目が一部変更となっています。
・収入の費目はあまり変更がありませんが、支出の費目は大きく変更になっており経年の比較がしづらくなっています
・例年ちゃんと読んでない発言が多い物販収入ですが、レイソルは物販を加茂商事へ委託しています。金額が収入を示していない点は何度も言っておきます…と思ったらついに今回0円になってましたね(笑)「レイソルの物販0円かよ」とかいう投稿を見たらそっとミュートしてもいいかもしれません。

営業収入

総収入

少し見づらいですが、2005年以降の経年変化を表にします。

年度売上高スポンサー収入入場料収入配分金アカデミー収入女子収入物販収入その他収入備考
22年度46.3230.294.823.780.22-0.007.21
21年度39.0629.872.373.990.220.012.60
20年度46.1328.931.433.820.170.0111.77
19年度31.4022.064.142.080.220.522.38J2
18年度41.5019.684.497.080.250.679.33
17年度34.5419.545.544.660.260.773.77
16年度28.7419.294.351.850.300.612.34
15年度30.1919.285.181.860.343.53
14年度31.6519.434.662.010.664.89
13年度34.1219.476.462.040.715.44
12年度35.5119.895.762.340.746.78日立台改修
11年度35.4318.784.962.300.748.65
10年度27.4319.982.911.173.37J2
09年度28.5917.634.742.094.13
08年度29.9718.744.602.364.27
07年度31.4319.304.112.585.44
06年度32.4425.022.841.393.19J2
05年度38.7417.825.292.5013.13

※単位は億円。レイソルの場合物販収入は委託しているため物販の売上を示していないことに留意。

レイソルの2022年度の営業収入は、46.32億円でした。2021年度39.06億円より7.26億円の増収となりました(拍手)。過去最多を記録した2020年度の46.13億円を超え歴代最多の収入となっています。22年度は、観客制限こそなくなりましたが声援はまだできないコロナ禍の影響を残したシーズンでしたが、40億半ばレベルの売上をキープできました。ひとえに日立様のおかげです。ありがたやありがたや。

さて。Jクラブ全体での立ち位置を見てみます。2022年度営業収入額を上から順に並べると、浦和(81.27億円)、川崎(69.79億円)、マリノス(64.81億円)、神戸(63.65億円)、鹿島(61.16億円)、名古屋(60.91億円)となり、6クラブが60億円を超えました。次いで、ガンバ(59.69億円)、FC東京(52.74億円)、清水(50.87億円)となっています(清水凄いな…。)50億円を超えたクラブの数は9クラブとなり、前年度の7クラブから2クラブ増と、J1クラブの売上面を単純に見ればコロナ禍を脱した数字が並んでいます。その後は少し金額が離れて、柏(46.32億円)、C大阪(42.16億円)、広島(40.17億円)までが40億円以上のクラブ。柏は10番目となっています。

●売上規模とクラブ数の変化
50億円超えクラブ:19年度8→20年度4→21年度7→22年度9

40億円超えクラブ:19年度9→20年度10→21年度9→22年度12
30億円超えクラブ:19年15→20年度13→21年度15→22年度15

●J1所属クラブの平均営業収入額
2019年度:49.51億円
2020年度:38.68億円
2021年度:43.87億円 ※20チーム
2022年度:48.64億円

J1所属クラブの平均営業収入(売上)は2019年度並みに回復していることが分かります。J1所属クラブの平均売上は、10年前の2013年度が30億円程度でしたので、コロナ禍の数年を間に挟みながら、10年で50億円規模まで拡大したことが分かります。ひとえにDAZNマネーの恩恵と言えるでしょうが、停滞している日本経済の中ではすごいことかなと感じますね。

スポンサー収入

ココからはレイソルの各費目にフォーカスします。

スポンサー収入は、2021年度29.87億円から30.29億円と0.42億円の増加となりました。30億円超えはクラブ史上初めてです。Jクラブ全体で見ると浦和、名古屋、川崎に次ぐ4番目となっています。

ちょっと古くなっていますが、毎年引用させてもらっている2017年の意見交換会のコメントを引用します(2017年は総収入が30億円程度、スポンサー収入が19.5億円ほどの時代です。)

(2017年当時)30億ちょっとの総売上のうち、スポンサー料が大半を占めています。30億のうち13億は日立からいただいているスポンサー料です。その他6億は日立グループが主な相手先となるスポンサーで、当然その他にも地域の中小企業さんからご支援をいただいております。

2017年柏レイソル意見交換会議事録

2010年度から2018年度まで、スポンサー収入の額は19億円前後が続いていました。2019年に10年ぶりに数字が動き22.06億円と増えました。この増額は2019年4月26日に日立ビルシステムさんがユニフォームスポンサーになっている件が理由ではないかと推察しています。

2020年度は28.93億円と7億円近く金額が増えまして、2021年度は29.87億円と増え、2022年度はついに30億円を超える30.29億円まで伸びています。きっかけとなる2020年度(2020年4月~2021年3月)に大きく変わった点は2つありました。

①親会社の損失補填が非課税になったこと

プロ野球球団の親会社に認められている優遇がある。年度に生じた額を上限に、球団の欠損金を埋める補填や貸付金が損金と扱われ、非課税となるもので、1954年に国税庁の通達がなされている。今回、これと同じ扱いがJリーグの親会社にも認められた。

Jクラブへの投資追い風? 親会社が損失補填、非課税(日経新聞2020年6月23日)

②Lumadaがユニフォーム胸位置に表示されるようになったこと

2021シーズンより日立ロゴに加え、日立の先進的なデジタル技術を活用したソリューション/サービス/テクノロジーの総称である「Lumada」ロゴも掲出。

2021年02月02日(火)『2021シーズン ユニフォームスポンサー』のお知らせ

2022年度の個別経営情報を見ると、神戸が31.1億、長崎が9.5億、名古屋が6.3億円の特別利益を計上していることが分かります。特別利益には損失補填や不動産・有価証券の売却などで得た利益などが含まれます。この金額すべてが①という訳ではないと思いますが並んでいるクラブの共通項として大きな親会社がいること、過去の神戸社長の記事からそうなのかなと推察します。(追記)特別利益には寄付金も入るようです。

レイソルの経営情報を眺めると、特別利益の計上はなくスポンサー収入の増加となっていますので②の対価として2020年に増額があったと考えるのが正しい気がします。

入場料収入

入場料収入は4.82億円と2021年度2.37億円から2.5億円ほどの増収となりました。入場料収入は、2022年度(2022年4月~2023年3月)の入場料収入になりますので、年度内に販売された2023シーズンのシーチケ販売分も対象になるはずです。

入場料収入の過去最高は2013年度(リーグ戦平均12,553人の動員)の6.46億円です。2022年度のリーグ戦観客動員は平均9,265人でしたので、チケット単価をいじらなくてももう少し増収の余地はありそうです。近年はダイナミックプライシングの導入でチケット価格がかなり高騰していますのでその路線を柏が採用したらもう少し伸びしろはありそうです。

ちなみに柏の入場料収入の4.82億円に近いクラブとしては、福岡(4.64億円)、広島(4.05億円)、鳥栖(5.57億円)、京都(5.73億円)あたりでしょうか。広島は来年新スタジアムができるので増収が期待できそうですね。

Jリーグ配分金

Jリーグからの配分金です。こちらは3.78億円と2021年度3.99億円より若干減少していますがほぼ例年並みの数字になっています。
J1上位クラブ以外は似たような数字が並んでいますが、最高はマリノスの10.76億円で、J1平均は4.89億円。柏の配分金は2022年度J1所属クラブでは最下位でした(それでもJ2所属クラブよりはだいぶもらっています。)

「理念強化配分金」については過去のゲキサカ記事が良くまとまっているので今年も引用しておきます。※柏には関係ありませんが、コロナ禍を受けて理念強化配分金は20年度以降配分が停止されています。また、下記引用の記事から配分金の総額と降格した際の補償額が変わっています。

降格1シーズン目のみ前年度配分金の80%が保障される。J1からJ2に降格した場合、J1の配分金3.5億円程度の80%、2.8億円の配分金がもらえる。J2の配分金は1.5億円。
J1上位クラブが受けることになる「理念強化配分金」は最長3年間の傾斜配分が決定。同年度の審査(※)を通過する必要があることから、支払い開始は翌年になるが、今季の1位チームには18年に10億円、19年に4億円、20年に1.5億円が渡ることになる。
また「理念強化配分金」は年間4位のチームにまで支払われ、今季の2位チームは18年に4億円、19年に2億円、20年に1億円。同3位チームには18年に2億円、19年に1.5億円で20年の配分金はない。同4位のチームは18年の1.8億円のみとなる。この比率は3年間適用される。

今季より3年間のJ1優勝賞金&配分金が正式決定!優勝なら総額22億円(ゲキサカ 2017/2/9)

来期からは、配分金も順位で貰えるものとDAZN視聴数やJリーグID数などファンの広がりで貰えるものとに分かれます。どうも大本営さまからは大きな人気クラブを作りたい意向を感じるので、皆さんDAZNに加入してレイソルの試合を何度も見返しましょう。(連続勝ちなし記録のシーズンなので見たくないとか言わずに…)

その他収入

柏の収益を左右する最大の要因が「その他収入」です。「その他収入」となっていますが、賞金+移籍金+物販の金額です。

まず、賞金ですが、2022年度も成績が奮わなかったシーズンでしたので、リーグ戦、ルヴァン杯、天皇杯とも賞金はありません。

次に物販です。柏は他クラブと異なり加茂さんに委託していますので、これまで物販費目の計上は100万円が何年も並んでいまして、ついに今年は0円となりました。Jリーグ公式サイトに、「物販収入」および「物販関連費」は、代理店に委託販売しているケース等もあることから、取扱い高総額でのクラブ間比較はできない。と記載がありますが、数字だけ見てほかのクラブと比較する人が多いからなのか潔く0円にしたのでしょうか。過去の意見交換会では下記の説明がありました。

なお、この金額ですがグッズについては、企画、仕入、販売の一連を加茂商事さんへ委託しております。開示されている金額が全ての売上高という訳ではございませんので、他クラブと比較して突出して少ないという訳ではありません。商品化事業をアウトソーシングをすることで、在庫高や販売にかかる諸経費を大きく削減しております。

2020年レイソル意見交換会

最後に移籍金です。繰り返しますが、レイソルの2022年度は2022年4月から2023年3月までですので、この間に移籍していった選手の移籍金が計上されます。一般的に受け取り移籍金は移籍したシーズンに一括で計上されたはずです。フリー移籍であれば当然0円です。

2022シーズンも2021年のオフ同様悲しいお別れの多いシーズンでした。シーズン途中にキムスンギュ神がサウジアラビアのアル・シャバブへ。エメルソン・サントスさんもブラジルに戻りました。シーズンオフには、大谷さん染谷さんが引退し、ドッジさん、大南さん、北爪さん、上島さん、高橋祐治さん、ペドロ・ハウルさんが移籍されていきました。思い返せば、第2期ネルシーニョ政権は毎年選手を入れ替えてたなあと思います。

移籍金を含むその他収入の費目は7.21億円となりました。2021年度2,60億円より4.6億円の増加です。2021年度は悲しいお別れの割に移籍金には繋がりませんでしたが、2022年度は移籍金を取れた移籍が多かったということになります。(キムスンギュさんあたりは移籍金掛ったんじゃないかなと。大南さんはどうだろう。レイソル加入3年目だったのでフリーかな?報道だとペドロ・ハウルさんは移籍金があったような記憶が。それとドッジさんももしかしたら貰えたかも。なんせサントスですからね。)

費用(売上原価+一般管理費)

・総費用

長くなってきましたがココから支出です。まず支出ですが、今年度発表分から費目が大幅に変更になっております。

大きな変更点は2つ。
1つ目は、従来の営業費用という費目が、売上原価+販売費および一般管理費に分けられた点。
2つ目は、人件費は従来すべてのチームの人件費だったものが、【TOPチーム】のみに変更になった点です。柏を例に挙げると、昨年2021年度発表のチーム人件費は31.05億円でしたが、2022年度発表分(PPTの方の資料)を見ると、TOPチーム人件費は30.33億円とやや少ない金額となっています。この差分がレイソルの場合はアカデミーの人件費にあたるものと思われます。※他のクラブの場合、育成や女子を別法人としてしているクラブも少なくないので注意が必要です。

経年変化はなるべく同じ指標で見る必要があるので、これまで発表されていた営業費用(営業原価+販売費および一般管理費)を総支出として見ていくことにします。費目によっては厳密に同じ定義ではない点があることはご容赦ください。

年度総支出TOP人件費試合関連経費TOP運営費アカデミー運営費女子運営費物販関連費その他売上原価販売費一般管理費
22年度45.1531.881.322.501.32-0.0108.12
21年度42.7531.051.331.990.22-0.01-8.15-
20年度46.1528.791.238.530.14-0.01-7.45-
19年度42.0629.401.263.260.31-0.41-7.42-
18年度41.2828.061.353.140.37-0.53-7.83-
17年度34.4023.081.581.830.33-0.61-6.97-
16年度28.3017.531.321.800.39-0.48-6.78-
15年度30.8318.881.672.320.40-7.56
14年度31.9520.591.382.090.39-7.50
13年度33.8021.181.982.660.40-7.58
12年度35.2720.471.742.250.38-10.43
11年度33.9119.191.532.680.36-10.15
10年度26.9814.857.244.89
09年度29.3015.808.325.18
08年度30.4816.948.435.11
07年度31.0516.939.484.64
06年度34.6221.888.604.14
05年度38.5833.984.6

レイソルの総支出金額は売上原価37.03億円に販売費および一般管理費8.12億円を合計した45.15億円です。2021年度は42.75億円でしたのでやや増加しています。2020年度は46.15億円でしたので2年前よりは少なくなっています。

では例年のように内訳をみていきます。

・TOPチーム人件費(チーム人件費)

レイソルの営業費用で大きな割合を占めるチーム人件費。この費目は今年から変更になっています。これまではアカデミーの人件費も含まれていましたが、TOPチーム人件費のみに変更となっています。2020年分までは公式発表の資料から遡れますので比較しながら見ていきます。

      TOPチーム人件費  チーム人件費(2021年まで)
2022年度 31.88億円(70.6%)
2021年度 30.33億円(70.9%) 31.05億円(72.6%)
2020年度 27.89億円(60.43%)28.79億円(62.38%)
2019年度            29.40億円(69.9%)
2018年度            28.06億円(68.0%)
2017年度            23.08億円(67.1%)
2016年度            17.53億円(61.9%)

TOPチーム人件費は31.88億円。歴代最多の金額を使っています。この額は相当多いです。J1ではイニエスタさんがいる神戸(48.39億円)は別格として、マリノス(34.15億円)に次ぐ3番目です。

レイソルは3月決算ですので、この31.88億円には、
・2022シーズンの選手・スタッフの給料(基本給+勝利給など)
・2022年4月から2023年3月までに加入した選手の移籍金(一部)
などが加わっています。

獲得の主な動きとしては、2022シーズン途中の守田さんの加入、2022オフシーズンの高嶺さん、片山さん、立田さん、ジエゴさん、仙頭さん、フロートさんまでが入ってきていると思われます。

営業費用におけるチーム人件費の割合は、70%を超えています。ギリギリのラインですね。支出をできるだけ人件費に割くというのがレイソルの経営戦略だそうですが、やはりネルシーニョ政権は金がかかるなと。2016年下平さんの頃と比べると人件費はほぼ倍になっています。「費用対効果何それ美味しいの?」ってくらいに成績に反映されていないのが痛いところ。

移籍金の計上については、なかなか纏まっている記事が少ないのですが、元東京Vの強化部の方が書かれた下記の記事がめちゃんこ参考になりますが、この辺も会計ルールが変わったとかいう別の記事を読んだような。

・それ以外の支出項目

その他の支出項目は、例年の数字に近い数字が並んでいます。試合関連経費(ホームゲーム開催費)はホームゲーム開催費という記述が増えているのが気になりますが、1.32億円となってます。例年同じくらいの金額です。J1所属クラブでは最も少ない金額です。

トップチーム運営費は、2.50億円でした。2021年度は1.99億円でしたのでやや増加しています。理由があるのか費目の付け替えの影響かはちょっと不明です。ちなみに、トップチーム運営費には、チームの移動経費、施設や寮関連の費用、代理人(仲介人)手数料などが含まれます。

収入や支出の費目の内訳については、Jリーグ大本営様がJリーグ クラブ経営ガイドを発表してましてそこに記載がありますので引用しておきます。

・経年変化

経年変化のグラフを載せておきます。費目が変わっているので参考程度です。経年での推移と割合のイメージは掴めると思います。

 

単位は億円
※11年度以前は試合経費、チーム運営費経費、アカデミー運営費の内訳が発表されていません。
※販管費は17年に費目が分かれたので、販売費および一般管理費と物販関連費の合計値です。
※2022年度から売上原価と販売費および一般管理費が分かれたため便宜的に総支出額の費目を作成した。

収支について

債務超過

2019年度3度目のJ2降格を救ってもらうためにネルシーニョ監督を再招聘しました。無事1年でJ1に復帰となりチームを救ってもらいましたが、10億円の赤字となり貸借対照表を痛めてしまいました。

2021年度はチーム人件費の高騰+コロナ禍もあって単年で4億円の赤字となり。3.6億円の債務超過に陥ってしまいました。レイソルで言えば2度目の降格をした2009年度以来となる債務超過状態です。

2022年度は1億円の利益を出すことができました。債務超過がクリアされた訳ではありませんが回復基調に乗ったことは良い傾向でしょう。

さらに言えば、Jリーグのライセンスに関して、コロナ禍の猶予期間が延長になりました。
こちらも引用しますと、

2023年度以降の財務基準
◼ 2022年12月に公表した通り、2023年度は再度特例措置とし※、それを踏まえて猶予期間を2024年度までに延長。2025年度末から元の基準に戻すこととする(特例措置なし) 。

とあります。
Jリーグクラブライセンス制度の財務基準では

・3期連続の当期純損失(赤字)を計上していないこと
・債務超過でないこと
・移籍金や給与の未払いが生じていないこと

が求められています。(厳密にはもう少し細かい基準があります)

コロナ禍を受けて、各クラブ厳しいため2020年度2021年度は特例措置期間となっていました。上記に抵触してもすぐにライセンス失効とはなりませんでした。2022年度からは猶予期間に変更となり、猶予期間中は、

・債務超過額(柏の場合3.6億円)より増えてはならぬ
・新たに債務超過に陥ってはならぬ
・3期連続赤字のカウントを始める(1年目としてカウントする)

という決まりとなっていました。

ですが、これが再度改められ、2023年度も特例措置期間に変更になり完全に債務超過を解消しているのは2025年度で良くなりました。猶予期間が増えた訳です。

ネクストレイソルはどこに向かうのか

昨年こんな事を書きました。

2024年度末までに債務超過を解消している必要があります。おそらくですが、若手に切り替えたところで支出は抑えられるはずなので、2022年度の経営情報は改善されると思います。が、うまくいかなかった時に凄い移籍金を支払ったり高額な年俸を支払ったりして選手を獲ってくるのはしばらくできない(全くできないわけじゃないでしょうけど)ということになります。

そういう意味では、VITORIA精神とアカデミーの融合。何度も言われていることですが、これが少なくともこの2年、債務超過を脱するまでのレイソル喫緊の課題です。

今年発表された2022年度版個別経営情報を読むと債務超過への目途はある程度ついたのではないかと思います(ネルシーニョ前監督にめちゃくちゃ違約金払ってたら知りませんけど…)。

そこに来て5月に長年お世話になったネルシーニョとの関係が終焉を迎えました。2018年3度目の降格が決まってから、布部GMあっての第2期ネルシーニョだったのか、ネルシーニョありきの布部GM招聘だったのかがちょっと分からないのですが(なんとなく後者な気がします)、しばらくぶりに【これからレイソルをどうしていくのか、黄色いキャンバスにどんな絵を描いていくか】を考えるフェーズが2023年2024年なのかなと(債務超過は解消できる前提で)思います。

そこで過去を振り返ると、レイソルは降格や監督交代は多いものの、数年スパンで捉えてみると大きな変革期はそれほど多くない気がしています。

Jリーグ加盟後を数年スパンで見てみると、
・J加入後故久米さん時代(西野監督など)
・菅又さん時代(池谷監督など。短命に終わる)
・竹本さん小見さん時代(石崎監督、高橋監督、第1期ネルシーニョ監督など東京ヴェルディゆかりの時代)
・吉田達磨さん時代(寺坂GM+達磨監督。これも短命。)
・瀧川前社長時代(下平監督→第2期ネルシーニョ監督+布部GM)

の5区分で分けるのが近いのかなあと。そういう意味では第6区分に移るタイミングを迎えているのかなと思う訳です。と見ていくとですね。このクラブは(他も同じかもしれませんが)親会社出身の人を定期的に重要なポストに据えていることが分かります。監督もGMも。基本的には外の血はあまり入れずに自分たちでと言うのが見える訳です。久米さんも菅又さん、池谷監督、達磨さんも下平さんも寺坂さんもそうですね。外部の方はあまり多くないのです。

とすると、現体制(布部GM+井原監督)がよほどのV字回復でもしない限り、次世代は酒井直樹さん(強化TOPなのか監督なのかどちらか分かりませんけど)かなと…思うのが、これまでの経緯からみてスムーズなのかなと思っていたのですが、4月にU-18の監督外れちゃいましたね。ただ、新社長が就任したのが4月1日で、酒井さんがU-18外れたのがプレミア2節(4/8)なのはなんか関係あるんじゃないかなって、まったくの憶測ですが思っています。全然関係ないかもですが。

このまま企業型スポーツクラブとして突き進むのか、現代型にアジャストしていくのか。割と真面目にここ1,2年が結構このクラブ的には大事なタイミングなんじゃないのかなあと思ったりします。

Inspire the Next

って「次なる時代に息吹を与えていく」って意味だそうですよ。

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