2021柏レイソル

いつまでもあると思うよ!?親と金 2020年度(令和2年)柏レイソル個別経営情報開示

毎年7月後半に公開されますJリーグ個別経営情報開示資料。柏レイソルさんは3月決算のため7月に発表されます。

・2020年度(令和2年度)Jクラブ経営情報開示(公式

という訳で例年のように見ていくことにします。※良い子の前提:柏レイソルさんは2020年はJ1リーグ所属でございます。

営業収入

・総収入

まずは、グラフをご覧ください。

※16年度以降物販収入が費目上独立しているが、それまでの比較のためにその他収入と合算して算出

2020年度の営業収入は、46.13億円と2019年度の31.40億円から15億円ほどの増収となりました。2018年度クラブ史上最高の売上となった41.5億円を軽く超えてきました。レイソルの2020年度は2020年4月から2021年3月までですので、がっつりコロナ禍にもかかわらず、過去最高の売上高となっています。増収の内訳を深堀する前に、この金額はJ1クラブの中でどの程度の位置づけなのかを見てみます。

各クラブコロナ禍に苛まれた2020年度の営業収入を上から順に並べてみると、マリノス(58.64億円)、浦和(57.71億円)、川崎(54.45億円)、名古屋(52.36億円)、鹿島(47.97億円)、神戸(47.14億円)についで柏(46.13億円)、FC東京(45.88億円)、清水(45.45億円)、G大阪(44.91億円)までが40億円を超えているクラブです。30億円台は、広島(32.09億円)、札幌(30.96億円)、J2大宮(30.34億円)の3クラブ。

50億円超えクラブは2019年度の8クラブから4クラブに減りましたが、40億円超えは10クラブと2019年度の9クラブから増えています。30億円超えのクラブは2019年15クラブから13クラブにやや減っています。

各クラブコロナ禍に苦しみ減収しているクラブが多い中、柏は大きく増収したことになりますが、コレは喜んで良いのでしょうか。売上上位クラブの中で唯一増収していたのが清水ですが、清水とは数字の意味合いは大きく異なります。ということで費目ごとにみていきます。

・スポンサー収入

スポンサー収入は2019年度の22.06億円から28.93億円へと8.3億円の増加となりました。例年引用していますが、2017年の意見交換会のコメントを引用します。

30億ちょっとの売上のうち、スポンサー料が大半を占めています。30億のうち13億は日立からいただいているスポンサー料です。その他6億は日立グループが主な相手先となるスポンサーで、当然その他にも地域の中小企業さんからご支援をいただいております。

2017年柏レイソル意見交換会議事録

2010年度から2011年度を除くと、スポンサー収入はずっと19億円前後が続いていました。2019年は、10年ぶりに数字が動き22.06億円と増えました。この増加は2019年4月26日に日立ビルシステムさんがユニフォームスポンサーになっている件が理由だと思われます。

2020年度はここから8億円ほど金額が増えました。特に新しい大口スポンサーがついたわけではないので、この8億円は親会社様からの補填ではないかと推測します。去年の中断期間に報じられた親会社の補填を非課税とする件です。

プロ野球球団の親会社に認められている優遇がある。年度に生じた額を上限に、球団の欠損金を埋める補填や貸付金が損金と扱われ、非課税となるもので、1954年に国税庁の通達がなされている。今回、これと同じ扱いがJリーグの親会社にも認められた。

Jクラブへの投資追い風? 親会社が損失補填、非課税(日経新聞2020年6月23日)

収支で大きく+が生じているわけではなくギリギリ黒字になっていることを考えると球団の欠損金を補填してもらったのではないでしょうか。

・入場料収入

入場料収入は2019年度の4.14億円から1.43億円と2億7千万ほどの減収です。

入場料収入ですが、これは2020年度=コロナ禍で戦ったシーズンの時の入場料収入が中心になります。レイソルは3月決算ですので、例年は1月から3月までに売れた翌シーズンのシーチケ分も対象になりますが、2021年シーチケは販売が見送られましたので、純粋に2020年シーズンの入場料収入になります。

入場者数に制限がついたシーズンでしたので、入場料収入は各クラブ大きく減少しています。2019年度入場料収入の最高は浦和で23億円ほどありましたが、2020年度は4.2億円と20億円弱の大きな減少となっています。

・Jリーグ配分金

Jリーグ本体様からの配分金です。こちらは2019年度の2.08億円から3.82億円へと増えました。

2019年度はJ2でしたので、J1配分金より少ない額となっていましたが、J1に復帰しましたのでJ1並みの金額となっています。リーグ戦の順位は7位だったため「理念強化配分金」は含んでいません。J1各クラブを横並びでみても似たような数字が並んでいます。

配分金については過去のゲキサカ記事が良くまとまっているので引用しておきます。

降格1シーズン目のみ前年度配分金の80%が保障される。J1からJ2に降格した場合、J1の配分金3.5億円程度の80%、2.8億円の配分金がもらえる。J2の配分金は1.5億円。
J1上位クラブが受けることになる「理念強化配分金」は最長3年間の傾斜配分が決定。同年度の審査(※)を通過する必要があることから、支払い開始は翌年になるが、今季の1位チームには18年に10億円、19年に4億円、20年に1.5億円が渡ることになる。
また「理念強化配分金」は年間4位のチームにまで支払われ、今季の2位チームは18年に4億円、19年に2億円、20年に1億円。同3位チームには18年に2億円、19年に1.5億円で20年の配分金はない。同4位のチームは18年の1.8億円のみとなる。この比率は3年間適用される。

今季より3年間のJ1優勝賞金&配分金が正式決定!優勝なら総額22億円(ゲキサカ 2017/2/9)

・その他収入

柏の収益を左右する最大の要因が「その他収入」です。「その他収入」をひと言で言うと、賞金+移籍金です。賞2020年度は11.77億円となり、2019年度の2.38億円から9億円以上の増加となりました。

まず、賞金ですが、2020年度はルヴァン杯で準優勝がありました。ルヴァン準優勝の賞金はここ最近は5,000万円(優勝だと1.5億円)ですが、昨年はコロナ禍により減額となり2,500万円となっています。天皇杯もコロナ禍で縮小開催となり出場していませんので賞金はありません。つまりほぼほぼ移籍金ということになります。

移籍金ですが、柏の2020年経営年度は20年4月から21年3月までですので、この間に出ていった=移籍金を落とした選手の金額が計上されます。20-21シーズンは結構多くの選手が移籍していきましたが、移籍金があったと思われるのは、ジュニオール・サントス(マリノス期限付き→広島)、オルンガ(→アルドゥハイル)くらいでしょうか。もしかすると手塚(→横浜FC)も考えられるかもしれません。中村航輔(→ポルティモネンセ)は移籍したのがいわくつきのポルティモネンセですからフリー移籍な気がします。<追記>買取オプションが行使された伊東ちゃんの金額も計上されていると思われます。

最後に物販です。柏の数字は微々たるもので、2020年度はわずか100万円となっていました。

なお、この金額ですがグッズについては、企画、仕入、販売の一連を加茂商事さんへ委託しております。開示されている金額が全ての売上高という訳ではございませんので、他クラブと比較して突出して少ないという訳ではありません。商品化事業をアウトソーシングをすることで、在庫高や販売にかかる諸経費を大きく削減しております。

2020年レイソル意見交換会

と話がありました。また、Jリーグ公式サイトにも、「物販収入」および「物販関連費」は、代理店に委託販売しているケース等もあることから、取扱い高総額でのクラブ間比較はできない。と記載があります。数字だけ見てほかのクラブと比較する人が多いので追記しておきます。

・経年変化

年度 収入 広告 入場 配分 その他 育成 物販 備考
202046.1328.931.433.8211.770.17
2019 31.40 22.06 4.14 2.08 2.38 0.22 0.52 J2在籍
2018 41.50 19.68 4.49 7.08 9.33 0.25 0.67
201734.54 19.54 5.54 4.66 3.77 0.26 0.77
2016 28.74 19.29 4.35 1.85 2.34 0.30 0.61
201530.19 19.28 5.18 1.86 3.53 0.34
201431.65 19.43 4.66 2.01 4.89 0.66
201334.12 19.47 6.46 2.04 5.44 0.71
2012 35.51 19.89 5.76 2.34 6.78 0.74 スタ改修
2011 35.43 18.78 4.96 2.30 8.65 0.74 優勝
2010 27.43 19.98 2.91 1.17 3.37 J2在籍
2009 28.59 17.63 4.74 2.09 4.13
2008 29.97 18.74 4.60 2.36 4.27
2007 31.43 19.30 4.11 2.58 5.44
2006 32.44 25.02 2.84 1.39 3.19 J2在籍
2005 38.74 17.82 5.29 2.50 13.13
単位は億円 ※2016年度以前のその他収入には物販が含まれる。2010年以前はアカデミー収入も含まれる。

営業費用

・総費用

こちらもグラフをご覧ください。

※営業費用は年度によって費目の変動が大きいので総費用とチーム人件費のみを抜粋。


総支出金額は46.15億円と2019年度42億から4億円以上増えています。総費用46億というのは、全クラブで8番目。よく使いました。

では内訳をみていきます。

・チーム人件費

柏レイソルの営業費用で大きな割合を占めるのがチーム人件費です。

2020年度 28.79億円(62.38%)
2019年度 29.40億円(69.9%)
2018年度 28.06億円(68.0%)
2017年度 23.08億円(67.1%)
2016年度 17.53億円(61.9%)

過去最高だった2019年度から若干下回りまして28.79億円を記録しています。ここ3年28億前後が続きます。2018年はACLで勝負を掛けて大外し+降格をさけるべく緊急的に使った年の28億円がベースになっています。

繰り返しますがレイソルは3月決算ですので、この28.79億円には、2020年シーズン、2020シーズンの選手・スタッフの給料(基本給+勝利給など)+2020年4月から2021年3月までに加入した選手の移籍金(一部)が加わります。

期間中にあった主な動きとしては、2020シーズン中は動きがほぼなかったため、シーズンオフの椎橋さん、イッペイさん、アンジェロッティ、ドッジ、ペドロ・ハウル、エメルソン・サントスの獲得になります。

また、19シーズンオフに完全移籍で獲得したサヴィオは、460万ブラジルレアル(約1億2000万円)かかったという報道もありましたので、サヴィオの契約年数で除した金額が積まれているはずです。移籍金がかかっていた場合は、全額計上するわけでなく減価償却的に配分していくのが一般的だそうです。

営業費用におけるチーム人件費の割合は、少し減りまして62.38%になっています。さすがに支出の70%が選手人件費ってのは高すぎだと思うので、まぁこの辺りでしょうか。今後も60%-70%で推移するものと思われます。これも以前の意見交換会で話がありましたが、支出をできるだけ人件費に割くというのがレイソルの戦略なのだそうです。

ちなみに、チーム人件費は上から順に、神戸63.96億円、名古屋35.25億円、浦和31.19億円、川崎30.36億円、FC東京30.34億円、マリノス29.62億円、柏28.79億円、ガンバ27.21億円、鹿島25.50億円となっており、柏は上から7番目です。ちなみに、20億円台は広島とC大阪を入れた11クラブで、J2で最も人件費が高いのは14億円のジェフでした。

・その他の支出項目

その他の支出項目は、例年大きな動きがないのですが、2020年度は少し動きがありました。例年3億円ほどのチーム運営費が8.5億円と5億円の増額となっています。

チーム運営費には何が含まれるかについてですが、チームの移動経費、施設や寮関連の費用、代理人(仲介人)手数料などが中心です。仲介人手数料はJFAで公開されてまして、柏が2020年7月14日から2021年6月15日までに仲介人に支払らった金額は3,500万円ほどでしたので、8.5億円の大半はコロナ対策に割いた対策費用(人件費)が入るのではないかと思われます。この8.5億円ですが、J1クラブのなかでも抜けて高額となっています。J1 18クラブの平均は3.7億円でしたので、レイソルでは倍以上の費用を投じ対策を打ったものと思われます。当然Jクラブでも最多の金額でした。2位の神戸が6.02億円ですからだいぶ多いです。コレだけの費用をかけていたけどクラスターになってしまったのか、クラスターになってしまってさらに追加で対策をしたのかというのは少し気になりますね。

また、移動経費が含まれるため遠隔チームの方がコスト高になるのかと思いましたが、そうでもなさそうです。

ちなみに、費目については過去に浦和さんの決算報告、札幌さんの有価証券報告書で探っています。

・経年変化

年度 営業費用 試合経費 チーム運営費 育成運営費 チーム人件費 販管費
20年度46.151.238.530.1428.797.45
19年度 42.06 1.26 3.26 0.31 29.40 7.83
18年度 41.28 1.35 3.14 0.37 28.06 8.36
17年度 34.40 1.58 1.83 0.33 23.08 7.58
16年度 28.30 1.32 1.80 0.39 17.53 7.26
15年度 30.83 1.67 2.32 0.40 18.88 7.56
14年度 31.95 1.38 2.09 0.39 20.59 7.50
13年度 33.80 1.98 2.66 0.40 21.18 7.58
12年度 35.27 1.74 2.25 0.38 20.47 10.43
11年度 33.91 1.53 2.68 0.36 19.19 10.15
10年度 26.98 7.24 14.85 4.89
09年度 29.30 8.32 15.80 5.18
08年度 30.48 8.43 16.94 5.11
07年度 31.05 9.48 16.93 4.64
06年度 34.62 8.60 21.88 4.14
05年度 38.58 4.60
単位は億円
※11年度以前は試合経費、チーム運営費経費、アカデミー運営費の内訳が発表されていません。
※販管費は17年に費目が分かれたので、販売費および一般管理費と物販関連費の合計値です。

いつまでもあると思うよ。思っちゃうよ。親(会社)の金

コロナ禍で大変だったけど(恐らく)親会社さまが救ってくれた。今のところフィットしてないけど、オルンガ様が置いてってくれた莫大な移籍金のおかげでなんとかネルシーニョ高コスト体制は維持できている。結果がついてくれば来年もJ1で戦えるかもしれない。貸借対照表では去年の10億分が傷として残ってしまっているけど損益計算書を見る限りではなんとか着地していると。こんな感じのまとめでしょうか。

ですがね。コロナ禍で、クラウドファンディングや物販の工夫、行政との取り組みなどで何とかファンを増やそう、お金を落としてもらおうと色々試行錯誤をされているクラブがとても目についたわけですよ。あの浦和や鹿島でさえ相当必死に(そう見えた)あれこれやってたわけです。

その点で言えば、社内政治は大変かもしれないけどある意味困ったら助けてくれる存在がいるというのはとても恵まれているでしょう。

ですが、ずっと未来永劫助け続けてくれるのかなあとも思うのですよ。

キャパも少ない。スポンサーも少ない、行政や街の中にしっかり根付いているかも分からないって状態で、急に親会社様に冷たくされちゃったらJ1とか言ってられないんじゃなかろうか…ってのがとてもとても怖いんですよね。

皆さん怖くないのかなあ。僕はとても怖いんですよ。かといって足を運ぶ、知人などを誘う、グッズを買うくらいしかできないんですけどね。

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