来週あたりリリースされる「第34期決算公告」
レイソルの決算公告がリリースされる時期になりました。株主総会があるからですね。過去のリリース日は
- 2024年度第33期 ⇒ 2025年5月28日(水)リリース
- 2023年度第32期 ⇒ 2024年5月30日(木)リリース
となっており(2022年度以前は日付が入っていませんでした。)例年5月の最終週というのがタイミングのようです。という訳で、2025年度の決算(第34期)の注目ポイントを書いていきたいと思います。一見するとただの数字の話なのですが、数字から動きを探るのって楽しいじゃないですか。
過去の数字が意味するもの
最初に注目ポイントを書きます。それは、『20年ぶりの利益剰余金(累積赤字)プラス転換なるか』の1点です。
直近の決算データから関連項目のみ抜粋したものを見てください。
| 年度 | 所属 | 営業収入 | 営業費用 | 営業利益 | 当期純利益 | 利益剰余金 | |
| 2018 | J1 | 4,150 | 4,128 | 22 | 2 | ▲1 | |
| 2019 | J2 | 3,140 | 4,206 | ▲1,066 | ▲1,013 | ▲1,014 | |
| 2020 | J1 | 4,613 | 4,615 | ▲2 | 21 | ▲993 | |
| 2021 | J1 | 3,906 | 4,275 | ▲369 | ▲400 | ▲1,393 | |
| 2022 | J1 | 4,632 | 4,515 | 117 | 103 | ▲1,290 | |
| 2023 | J1 | 4,419 | 3,897 | 522 | 490 | ▲800 | |
| 2024 | J1 | 4,658 | 4,217 | 441 | 436 | ▲364 |
ちょい解説します。
レイソルの運命を大きく変えたのは、奇しくもACLに挑戦した2018年でした。この年はACLを見据えてかなりの補強をおこなったものの、2度の監督交代を経て3度目の降格を喫してしまった年です。降格後、瀧川社長(当時)は、「1年でのJ1絶対復帰」を掲げ、布部GMとネルシーニョ監督を招聘します。翌2019年度は、J2に降格したにもかかわらず、チーム人件費を増額させました(2018年度28.06億円→2019年度29.40億円)。
この年の凄まじさは、営業収入(31.4億円)に対し、営業費用が42.06億円だった点からもあきらかです。J2クラブとして異次元の拡大戦略を採用し、序盤こそ苦しんだものの、見事1年でJ1へ復帰となりました。
しかし一方で、2019年度単年では、クラブ史上最大となる10億円を超える大赤字を計上してしまいました。(古今東西のJリーグクラブを見ても、親会社離脱などがなく単年で10億円を超える巨大赤字はそんなに多くないのです。)
さらに追い打ちをかけたのが、J1に復帰した後のコロナ禍でした。2021年度には、入場料収入などが制限され営業収入が回復しない中、チーム人件費は増え(31.05億円)、再び4億円の当期純損失を計上してしまいます。
この結果、2021年度末時点での利益剰余金(累積赤字)は、クラブワーストとなる13.93億円まで膨れ上がってしまい、純資産も3.61億円の債務超過に陥ってしまっていました。コロナ禍特例があったものの、Jリーグのライセンス的には債務超過はご法度ですので、このタイミングでは債務超過解消が必須事項となるわけです。第1期政権のように、成績が奮わなくなったら補強してカバーが使えません。ネルシーニョさんの言うとおりに選手を引っ張ってこれなくなりました(辞めた後のインタビューでぼやかれてましたね。)
選手の補強はバンバンできませんが、出るものを削るなどの努力もあり(チーム運営費を大幅に減らしてます)、2022年度には1億円の黒字を出し瀧川さんは交代となります。
この状況下で就任されたのが現山崎社長。2023年4月1日(=年度でいうと2023年度)に就任されます。この時点ではまだ第2期ネルシーニョ政権でしたが、就任1カ月で井原監督へのスイッチを決断されます。依然として債務超過ですので、井原さん的には大型補強もままならずの苦しい状況ではありましたが、何とか耐えに耐え2年連続17位ではありましたが、J1にしがみつくことに成功します。
井原さん含めたチームの奮闘に加えて、世の中的にはコロナ禍が過ぎたこと、やや外向きになった施策などで経営は上向きます。山崎社長就任1年目の2023年度末には4.9億円、翌2024年度末も4.36億円の黒字を計上します。瀧川さん最終年の2022年度からの3年間で「1.03億 + 4.90億 + 4.36億 = 計10.29億円」の純利益を叩き出すことに成功しました。これにより、2021年度末の13.93億円の累積赤字は、2024年度末時点で残り3.64億円まで圧縮されたことになりました。
来週発表される最新の2025年度決算で、ここ数年の黒字平均値(4億円前後)が出せていれば、この3.64億円のマイナスは一気に相殺され、利益剰余金が「プラス」に転換することになります。レイソルの利益剰余金がプラスだったのは、Jリーグが個別クラブの経営情報を開示するようになった2005年度が最後です。実に「20年ぶりの健全化」なるかというのが来週の一番のポイントかなと思う訳です。
20年ぶりのプラス転換が指す期待
ここまではほぼファクトベースで数字の話をしてきまたが、ここからは推測を少し。
それは、このプラス転換が何の意味を持つのかという点です。
アジア(ACL ELITE)に向けた「大補強」
-
2026-27シーズン、レイソルは2018年以来8シーズンぶりにアジアの舞台(ACL ELITE)に挑みます。
-
過密日程とアジアの強豪(特にサウジ)に対抗すること、2025シーズンと2026特別シーズンでの浮き沈みから、まだまだJリーグとアジアを同時に戦いぬくだけの選手層にはなっていないでしょう。そうした点での補強は不可欠かもしれません。外国籍選手が0人というのも今までのレイソルからすれば考えにくい話ではあります。
-
ここ数年の大黒字によって、自前で「アジアを戦い抜くための軍資金」がプールできたとすれば、補強も夢じゃない。
というかなりポジティブな仮説です。
瀧川さんがネルシーニョを招聘し、10億大赤字になっても大補強を敢行したのであれば、ACL ELITE獲るために10億使うのもまた柏っぽいなと。ACL ELITEの賞金1,000万ドル(=16億円)ですしね。決勝まで残ればペイできますよw
ただですね、これまで日立製作所という大きな親会社がしっかりあるレイソルは、利益が出たらチーム強化や設備に再投資すればよく、大きな利益を生むより大きな赤字を作らない半ば官公庁事業のような印象がありました。長年日立製作所の福利厚生的な位置づけ、昭和の社会人スポーツチームの最後の砦みたいな存在だと思ってました。そんなレイソルが、債務超過に落ちたとはいえ、なぜ急にここまでストイックに利益を残す必要があったのかな?とも思うのです。
そうするとですね、最近の日立さんかなりストイックに、ドラスティックに割り切っているなんてのも気になったりする訳です。今年に入って家電事業をノジマさんに売却されると発表されてましたよね。
一方で、少し前からクラブハウス?の工事が始まりましたよね。まだ土壌調査かもしれませんが。あの工事のオーナーは製作所さんなんですよね。なんで急に変な話にはならないのかもなと。まぁ分かりませんが。なんてことをですね、GWに日立製作所会長の東原さんの本を読んでの感想と併せて書いてみました。
20年ぶりに累積赤字消えると良いですね。それで大補強しませんか?ベルギーに柏が大好きなウインガーがいるみたいですよ。


