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持てるクラブ持たざるクラブの分かれ道 2015年度(平成27年度)Jリーグ クラブ経営情報開示

2016reysol

・2015年度(平成27年度)Jクラブ経営情報開示(J公式
・2014年度(平成26年度)Jクラブ経営情報開示(J公式
・2013年度(平成25年度)Jクラブ経営情報開示(J公式
・2012年度(平成24年度)Jクラブ個別情報開示(J公式
・2011年度(平成23年度)Jクラブ個別情報開示(J公式
・2010年度(平成22年度)Jクラブ個別情報開示(J公式
・2009年度(平成21年度)Jクラブ個別情報開示(J公式
・2008年度(平成20年度)Jクラブ個別情報開示(J公式
・2007年度(平成19年度)Jクラブ個別情報開示(J公式
・2006年度(平成18年度)Jクラブ個別情報開示(J公式
・2005年度(平成17年度)Jクラブ個別情報開示(J公式

2015年度のJリーグ 各クラブの経営情報が発表されました。レイソル視点でいつもの様にまとめてみます。

営業収入
2015年度、レイソル営業収入は、30.19億円と2014年度31.65億円から1.46億円の減収になりました。
J1クラブの平均は、2014年度の32.94億円から33.43億円に微増も、営業収入40億円を超えるクラブの数は、2014年度の4クラブから7クラブに増えており、格差は広がったといえます。

営業収入の多い順では、浦和60.88億、FC東京46.78億、マリノス45.67億、名古屋44.46億、鹿島43.11億、ガンバ42.82億、川崎40.77億、神戸36.63億、広島36.10億についでレイソルは10番目。昨年も順位としては10番目(1昨年は5番目)で同じですが、差は広がっています。これまでレイソル=金持ちクラブみたいなイメージを持っていたのですが、ここにきてJ1でも中位程度のクラブだと認識を改める必要があるのかもしれません。最近、Jリーグとしてはビッグクラブを幾つか作りたい意向を色々な場面で聞くことが多くなっています。そういう意味では、中位に落ち着いてしまうということに危機感を持たないといけません。

収入の内訳の推移は以下の通り。

     収入  広告料 入場料 配分金 アカデミー その他
 15年度 30.19  19.28  5.18  1.86  0.34  3.53
 14年度 31.65  19.43  4.66  2.01  0.66  4.89
 13年度 34.12  19.47  6.46  2.04  0.71  5.44
 12年度 35.51  19.89  5.76  2.34  0.74  6.78 ※スタジアム改修
 11年度 35.43  18.78  4.96  2.30  0.74  8.65
★10年度 27.43  19.98  2.91  1.17  —-  3.37
 09年度 28.59  17.63  4.74  2.09  —-  4.13
 08年度 29.97  18.74  4.60  2.36  —-  4.27
 07年度 31.43  19.30  4.11  2.58  —-  5.44
★06年度 32.44  25.02  2.84  1.39  —-  3.19
 05年度 38.74  17.82  5.29  2.50  —-  13.13
★はJ2所属

15年度は、入場料収入こそ前年度をやや上回ったものの、それ以外の収入が減少したため営業収入では前年割れとなっています。

もっとも、日立台のキャパは少なく入場料収入が総収入に与える影響は限定的であり、広告料収入も日立様のいるおかげでそれほど変動がありません。Jリーグからの配分金は2億前後で一定(15年度はやや少ない。J1在籍時では最も少ない)しています。営業収入に直接かかわってくるのは、「その他収入」ということになります。11年度35.43億と15年度30.19億とを比べると、5.24億円ほど収入が減っているわけですが、「その他収入」は11年度8.65億→15年度3.53億と5.12億の減少となりほぼ同額となります。

ちなみに、「その他収入」には、賞金、グッズ収入と移籍金収入などが含まれます。レイソルはグッズ収入が多いとも思えないので、純粋に「その他収入」と思われます。例えば、2005年度の13億円は初代ドゥドゥの移籍金(ドゥドゥは04年にレイソルからレンヌに移籍してますが、その時はレンタルでの移籍で、05年夏にレンヌからCSKAに移籍しています。)と降格時に移籍していったメンバーの移籍金が入っていると思われますし、2011年度の8.65億円は、優勝やCWC出場による賞金でしょうか。逆にいえば、最も少ない06年度でも3.19億の収入があるということは、グッズ関連でも2億円前後の収入あると思われます。(ちなみに、浦和はグッズ収入だけで7億前後毎年あるようです。)

営業収入と主要な収入内訳をグラフにしてみました。

グラフにすると、縮小傾向なのがよりハッキリわかります。他のクラブの推移と比較はグラフ化していませんが、収入が増加傾向のクラブと維持ないし縮小傾向のクラブとの2極化がこれまで以上にはっきりしています。

日立台のキャパを考えると観客動員が爆発的に増えることはありません。つまりは入場料収入にはあまり期待できない。となると、その後ろにいるスポンサーは今のままではそれほど増えようがありません。となれば、今の試合だけを見にきて帰ってもらう考えを改めて、新しいスポンサーのためになる工夫をしない限り、収入は現状維持ないし、景気に左右されながら緩やかに減少していくものと思われます。

先日発表された英パフォームとJリーグの契約で、今後10年間で2,100億円のお金がJリーグに入ります。この一部は各クラブに配分され、かつ、今までのような護送船団方式ではなく、傾斜配分で分配されます。村井チェアマンも明言しています。いきなりそうはならないでしょうが、欧州のように持てるクラブと持たざるクラブに分かれていくのだと思います。となると、昨年プレミアリーグでは稀有な例が起きましたが、基本的に優勝争いは持てるクラブ同士の争いになっていくものと思うのです。そう考えるのが自然かと。

もっとも、広告収入に期待をしない路線を採るのであれば、育成型クラブとして選手の移籍金を収入の軸としていく道もあるにはあると思います。ただ、昨年の移籍劇を見てもわかるようにフリーで主力を移籍させちゃうクラブですので、この路線は難しいでしょうね。

営業費用
支出の方ですが、30.83億と14年度より1億円を超える減少となっています。

     営業費用  試合経費 T運営費  A運営費 T人件費  販管費
 15年度 30.83億  1.67億  2.32億  0.40億  18.88億  7.56億
 14年度 31.95億  1.38億  2.09億  0.39億  20.59億  7.50億
 13年度 33.80億  1.98億  2.66億  0.40億  21.18億  7.58億
 12年度 35.27億  1.74億  2.25億  0.38億  20.47億  10.43億
 11年度 33.91億  1.53億  2.68億  0.36億  19.19億  10.15億
★10年度 26.98億      (7.24億)      14.85億  4.89億
 09年度 29.30億      (8.32億)      15.80億  5.18億
 08年度 30.48億      (8.43億)      16.94億  5.11億
 07年度 31.05億      (9.48億)      16.93億  4.64億
★06年度 34.62億      (8.60億)      21.88億  4.14億
 05年度 38.58億      (N.A)       (N.A)  4.60億
★はJ2所属
※11年度以前は試合経費、チーム運営費経費、アカデミー運営費の内訳が発表されていません。

グラフだとこんな感じ

構成要素で大きな割合を占めるチーム人件費は、18.88億円と4年ぶりに20億円を割りました。今回の発表の対象である2015年度はネルシーニョ体制から吉田達磨体制に切り替わったタイミングです。アカデミー路線を明確に引いた割にはそれなりにコストがかかっている印象です。レイソルは3月末決算ですので、15年4月から16年3月までの動きが入っているものと思われます。期間中にあった主な動きとしては、エデルソンの獲得、メンデス監督就任、ディエゴ・オリヴェイラ、ミネイロ、パトリックの加入がありました。放出はクリスティアーノとエドゥアルドですがそれぞれレンタルですのであまり影響ないのかもしれません。日本人だと今井の獲得と鎌田の獲得、順也の復帰が該当します。

課題ですが、全体の支出におけるチーム人件費の割合に尽きるかと。レイソルはこの割合が61.2%となっており、これまでもおおむね60%台前半で推移しています。この割合はJ1でも格段に高い数値となっています。J1全クラブの平均が44.6%。レイソルが最も高く、2番手の広島でさえ52.6%、18クラブ中13クラブが40%台ですので、抜けて高いわけです。

一方、試合経費、チーム運営費、販管費などは節約の効果もあってかほぼ同じ金額でここ3年推移しています。14年度と比べると15年度は試合経費、チーム運営費が増えています。確かにここのところ青いジャンパーを羽織っているボランティアさんよりも黒いジャンパーを羽織っているバイトさんの数が増えているように感じていましたのでそのあたりの費用かと思います。印象としては、運営経費的なものは切り詰めるだけ切り詰めているという印象ですね。
支出の方の感想ですが、ぶっちゃけ切り詰めるところまではほぼ終わってると思うのです。極論言えば、試合だけを純粋に見に来てもらう、勝ち負け以外の娯楽性はあまりない、サッカーのみを提供するモノとしての支出は、これ以上減らしていくは難しいところまで来ていると思います。

収入の方でも触れましたが、広告収入や入場料収入はあまり増える要素がありません。とするとただでさえ割合の高いチーム人件費が、実にもったいない使い方をしているわけで。こんなにカツカツな状況にも関わらず、結果論かもしれませんが、アカデミー路線への切り替えで満を持して投入した吉田監督を早々に見限ることになり、外国人を総入れ替えするような監督を連れてきてしまったのは、経営的に見れば、結果論かもしれませんが、痛すぎました。そんな金はどうみてもないわけですから。

今後、持たざるクラブにならないために、何をするのか。
遅いのかもしれませんが考えないといけない時期でしょうね。ラストチャンスかもしれません。

ちょっと単純化して考えてみますが、
○収入を増やす
 →スポンサー収入を増やす
   →日立様に無心する
     →グループ内政治?
   →新スポンサーを連れてくる
     →今の試合だけを見させるスタイルからの変革が必要。
      ※キャパに限りがある日立台だとなかなか難しい。

 →入場料収入を増やす
   →入場者を増やす
     →強くなる? ※優勝した効果も一時的でしかなかった。
     →A代表選手を輩出する? ※玉田以来輩出できていません。
     →試合前後のエンタメ性の提供?
     →地域との連携強化?
   →客単価を上げる
     →チケット単価を改訂する ※リスクとして入場者数の減少が伴いますが、レイソルのチケット代は他のクラブと比較してもまだ安いとは思います。

 →その他収入を増やす
   →優勝など賞金の獲得
     →言うは易し。最も難しい。
   →移籍金収入を増やす
     →ムダな移籍を減らす。 ※チームとフロントの一体感?スカウトの導入?
   →グッズ収入を増やす
     →今の入場者数、ファン数では限りがある?

○支出を減らす
 →チーム人件費を減らす
   →選手の人数を減らす?
   →外国籍選手を安く仕入れる?
 ※運営に関する販管費はカツカツなところまで切り詰めている。

とあげてはみたもののどれも一筋縄ではいきません。ちょっと、あまりにも下平さんが負っている(吉田監督もメンデスも背負ってたのかもしれないけど)範囲が大きすぎるような気がしますが、ここで下平さんも失敗をしてしまうと本当に窮地に陥ります。なんとか選手のみなさんと踏ん張って頑張ってほしいものです。
と同時に、一度本当に寺坂さんとこのあたりの話をサポカンのような大きな場じゃなくてしてみたいなと色々聞いてみたいなとつくづく感じました。

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